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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍(4) 画像上,診断が困難であった後腹膜線維症合併卵巣膿瘍
望月 朋子1), 苅部 正隆1), 吉岡 増夫1), 青木 啓光1), 高橋 康一2), 中村 幸雄2)
福生病院産婦人科1), 杏林大学産婦人科2)
CT,MRIにて診断が困難であった後腹膜維症合併卵巣膿瘍を経験したので報告する.症例は48歳女性,平成13年4月に便秘を主訴に近医受診,直腸指診にて肛門より10cmに狭窄を認め骨盤CT施行したところ,直径約8cmの腫瘤が描出された.5月5日より当院外科入院.大腸内視鏡にて肛門より10〜15cmに壁外圧迫によると思われる狭窄を認め,MRI上子宮右側に直径6×7cm多房性充実性腫瘤と両側水腎症を認めた.腫瘍マーカはCA19−9,CA125ともに正常域であった.画像所見より卵巣悪性腫瘍,及びそれによる直腸転移との疑いで,5月11日婦人科転科,5月18日開腹手術施行した.腹腔内は子宮と直腸が高度に癒着しており,直腸周囲に硬い腫瘤を認めた.卵管には異常を認めなかった.腫大した右卵巣を摘出し割をいれたところ,著しく肥厚した壁と膿性の内溶液を認め卵巣膿瘍と思われた.子宮摘出,外科による直腸切除術施行し手術終了とした.術後病理検査では直腸周囲の腫瘤は,線維組織の増殖のみで悪性所見はなく,後腹膜線維症と診断された.卵巣も悪性所見は認められず卵巣膿瘍と診断された.後腹膜線維症は非特異的炎症疾患で比較的稀な疾患である.後腹膜線維症と卵巣膿瘍との因果関係は不明であるが,術前画像上悪性疾患との鑑別が困難であった症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
297-297, 2001
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