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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
子宮頚部腫瘍 Neoadjuvant Chemotherapyが奏効した進行子宮頚部腺癌の3例
永井 敦, 斎藤 俊雄, 穴山 玲子, 佐川 泰一, 林 敏, 鈴木 康伸, 清川 尚
船橋市立医療センター産婦人科
[目的]子宮頚部腺癌は近年増加傾向にあるが,その予後は扁平上皮癌と比べリンパ節転移の頻度が高く放射線感受性が低いことよリ予後不良であり,標準治療方法の確立は重要である.最近,当センターにてIIb期以上の子宮頚部腺癌においてNeoadjuvant Chemotherapy(NAC)によりDown Stagingし,適切な治療が行えた3症例を経験したので報告する.[方法]対象は1996年より5年間当科で手術施行された19例で臨床進行期はIa期4例,Ib期6例,IIb期5例,IIIa期3例,IV期1例であった.最近のIIb期以上の3症例に関しSeldinger法にて選択的に両側子宮動脈よりCDDP 70mg/m2,epi-ADR 30mg/m2,MMC 7mg/m2のNAC動注療法(動注時間約3時間)を2コース施行し,病理組織,画像診断,腫瘍マーカー等を検討し,また手術施行された19例においてもretrospectiveに検討を行った.[結果]症例数は3例で,年令は48〜58才,組織型は腺癌,進行期はIIb期2例,IIIa期1例であった.NAC動注療法後の細胞学的効果ではclass II〜IIIと陰性化を認め,MRIによる効果判定では80%以上の腫瘍縮小効果の認められたPR2例,CR1例で奏効率は100%であった.3症例とも広汎子宮全摘術を行ってcomplete operationが施行できた.[結論]予後不良とされる進行子宮頚部腺癌に対しNAC動注療法が奏効しDown Stagingによる根治手術が可能であった症例を経験した.NAC動注療法は進行子宮頚部腺癌に有効的な標準治療方法となりえることを示唆している.今後,長期予後に関する検討が必要であると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
300-300, 2001
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