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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
その他の腫瘍(1) 卵巣腫瘍との術前鑑別が困難であった孤立性線維性腫瘍の一例
飯塚 義浩1), 山内 格1), 八幡 剛喜1), 生方 良延1), 秋葉 雅夫1), 佐藤 学1), 梶原 博2), 高橋 康一4), 岩下 光利3), 中村 幸雄3)
伊勢原協同病院産婦人科1), 伊勢原協同病院検査科2), 杏林大学産婦人科3), 杏林大学保健学部4)
最近我々は,術前に卵巣腫瘍(悪性疑い)と診断したが術後の検索で孤立性線維性腫瘍と考えられる症例を経験したので報告する.症例は50歳の主婦.2妊2産.既往歴に特記すべき事はないが,以前から子宮筋腫を指摘されていた.特別な訴えはなく,平成13年3月に子宮筋腫のフォローアップと癌検診を兼ねて受診した.内診で子宮は超手拳大であったが,経腟超音波検査を行なったところ,筋腫子宮の左に径7cmの腫瘤を認めた.腫瘤は充実性であり,卵巣悪性腫瘍の可能性が高いものと考え,検査を進めた.CEA,AFP,CA19−9,STN,CA72−4は基準値以下であり,CA12−5が僅かに高値を呈していた.LDHも正常値であった.MRIでは子宮筋腫とともに,やはり子宮の左に径7cmの腫瘤が描出された.画像所見として典型的とはいえないものの,悪性卵巣腫瘍の可能性が高いと考え,開腹手術を5月28日に施行した.開腹すると子宮は筋腫のため超手拳大に腫大していたが,両側卵巣卵管は正常であった.術前に卵巣腫瘍と思われた腫瘍は超鶏卵大の大きさで,左膀胱子宮窩腹膜に付着し,付着部では細かい血管が根を生やすように腹膜側に広がっていた.また腫瘍の1箇所と大網は長さ20cmほどの比較的太い血管で連続していた.手術はまず大網から伸びている血管を起始部で切断.腹膜付着部は腹膜を切除するようにして腫瘍を摘出した.続いて単純子宮全摘術を施行.摘出した腫瘍の病理組織検索ではsolitary fibrous tumor(SFT)の診断であった.なお組織型については現在さらに検討中である.若干の考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
302-302, 2001
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