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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
その他の腫瘍(1) 卵巣腫瘍と鑑別が困難であった非婦人科系腫瘍の3例
今井 公俊, 姜 賢淑, 依藤 弘志, 甲田 平吾
静岡市立静岡病院産婦人科
画像診断が発達した現在に於いても術前診断が誤る事は決して稀ではない.今回,術前には卵巣腫瘍と診断したが,開腹して非婦人科系の腫瘍と判明した3例を経験したので報告する.症例1:54歳,2回経産,48歳閉経,下腹痛を主訴に当院消化器科を受診,下腹部に腫瘍を認めた為,婦人科に紹介となった.超音波では長径17cmの腫瘍を子宮の前上方に認めた.開腹したところ,小児頭大の柔らかい腫瘍を認め,操作中に破裂した.両側附属器は萎縮しており,腫瘍内容700ml,標本重量388gで,回腸腸間膜から発生した腫瘍と考えられた.病理上はgastrointestinal stromal tumorであった.術後43ヶ月で健在である.症例2:66歳,1回経産,1993年僧帽弁置換術施行,熱発と左下腹部痛を主訴に循環器科入院,下腹部腫瘤が認められた為,婦人科に転科した.超音波上長径13cm大の下腹部腫瘍を認めた.敗血症を呈した為,緊急開腹したところ,子宮,両側附属器は正常であり,腫瘍は空腸由来で,切除標本は1286g,病理上平滑筋肉腫と判明した.外科管理となり,空腸切除,端々吻合施行.術後24ヶ月で腹腔内播種を来たし,死亡す.症例3:37歳,2回経産,切迫性尿失禁で泌尿器科受診したところ,超音波で骨盤内腫瘍の存在を指摘され,当科受診,超音波上子宮右後方に46×44mm大の充実性腫瘍を認めた.開腹したところ,右外腸骨血管前方に位置する後腹膜腫瘍と判明,腫瘍摘除した.腫瘍は鵞卵大で94g,病理上angiosarcoma,追加治療せず術後20ヶ月で健在である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
303-303, 2001
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