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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))

【一般演題(奨励賞候補演題)】
周産期
帝切時出血性ショックをきたし当院搬送となった侵入胎盤の1例


村山 敬彦1), 伊東 宗毅2), 臼井 真由美2), 小林 浩一1), 林 直樹2), 照井 克生3), 石原 理2), 竹田 省2)
埼玉医科大学総合周産期母子医療センター母体胎児部門1), 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科2), 埼玉医科大学総合周産期母子医療センター産科麻酔部門3)


 前置胎盤に癒着胎盤の合併する頻度は,前置胎盤症例の約10%で,反復帝切においては24〜50%に及ぶと報告されている.侵入胎盤や穿通胎盤は極めて稀であるが,発症の際はcesarean hysterectomyを必要とすることが多い.[症例]40歳.4回経妊2回経産.前2回帝王切開分娩既往.前置胎盤として前医にて管理されていた.妊娠38週0日,前医において選択的帝王切開術が施行された.術中胎盤用手剥離後,強出血をきたし止血困難となり当センター産褥搬送となった.当院搬送時,推定出血量3,000ml以上で,母体は出血性ショック状態にあり,DICを併発していた.搬送時BP70−40/-mmHg,HR120−160bpm.直ちに輸血を開始し,子宮全摘術を施行した.子宮摘出後両側内腸骨動脈を結紮したが,DICによる出血のコントーロールは困難を極めた.推定総出血量は20,000ml以上であり,術前,術中,術後の輸血はMAP62単位,FFP114単位,PC105単位に及んだ.抗DIC治療,術後心不全,肺水腫の治療等が効を奏し,術後24日軽快退院となった.摘出子宮の病理診断は,子宮頚部前面への侵入胎盤であった.本症例を通じて,DICを併発している妊娠子宮摘出術の困難さを痛感すると同時に,術中止血の方法論の問題,大量出血時の母体搬送に際し必要な一時止血の方法について考察する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 311-311, 2001


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