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<< 学会誌へ戻る 目的：妊娠中期の胎児超音波スクリーニング検査によって多くの疾患が出生前に診断可能になってきたが，未だ出生前に診断がつかない症例も少なくない．今回，我々は当院において出生した先天異常症例の出生前超音波検査を分析し，胎児診断の現状とその限界，及び問題点について検討した．対象・方法：1996年1月より2001年5月までに当院にて分娩となった（在胎週数22週以降）2955例のうち，先天異常を認めた53例（1.8％）を対象にして，出生前超音波検査による胎児診断の有無ならびにその詳細について検討した．結果：先天異常を認めた53症例のうち，超音波検査にて出生前診断しえたものは32例（60％），診断しえなかったものは21例（40％）であった．出生前診断率は各々，染色体異常（6/8例，75％），循環器系（10/17例，59％），消化器系（4/9例，44％），泌尿器系（6/6例，100％），呼吸器系（2/2例，100％），四肢骨格の異常（1/5例，20％），その他異常（3/6例，50％）であった．出生前診断しえなかった21例の内訳は，染色体異常の2例は18，21トリソミーが各1例であった．循環器系の7例はすべて心奇形でVSD2例，TGA，大動脈縮窄，PA・VSD，ASD・VSD，単心室・大動脈縮窄が各1例であった．消化器系の5例は鎖肛2例，羊水過多のない食道閉鎖1例，腸回転異常2例であった．四肢の異常4例はすべて手指の異常であった．結論：泌尿器系，呼吸器系，染色体異常などは出生前に高率に診断された．心奇形のうち大血管系の異常はいまだ出生前診断率が悪く，今後診断率を向上させるためより一層の努力が必要であると考えられた． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 314-314, 2001 |
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