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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題(奨励賞候補演題)】
周産期 当センターにおける単一臍帯動脈の症例の検討
保母 るつ子, 大久保 貴司, 林 直樹, 石原 理, 小林 浩一, 竹田 省
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
はじめに:単一臍帯動脈の頻度は全妊娠の約1%で,先天的異常との関連性も指摘され,原因として血栓や奇形による血管閉塞があげられる.今回1994年〜2001年に経験した単一臍帯動脈の12症例につき検討した.対象・方法:対象期間に22週以降分娩となった3,413例中,単一臍帯動脈と診断された12例(0.35%)について分娩週数,双胎の有無,分娩様式,NSTモニター,性別,出生体重,IUGRの有無,発症時期,分娩後の発育,Apgar score,UA-pH・UV-pH・UA-RI値,胎盤重量,胎盤病理所見,児の奇形の有無と経過について検討した.成績:女児は7/12例(58%)であった.13週から診断可能とされるが,当科では搬送が多く,妊娠中期や分娩後診断されることが多い.先天的異常の合併は,6/12例(50%)であった.IUGRの出現時期は20週前後であった.IUGRとなったものは5/12例(41%)で,そのうち合併奇形が無い症例は2/5例(40%),先天的異常合併は3/5例(60%)であった.早産となった症例は6/12例(60%)であった.染色体異常は18trisomyを1例認め,またUA-RI値の異常はこの症例のみで見られた.病理所見では,臍帯動脈閉塞による2次的閉塞の場合は,IUGRであっても生後正常な発育を呈した.一方,先天的な単一臍帯動脈は,IUGRを認める場合,18trisomyを含めた何らかの大きな先天異常を合併するように思われた.結語:日常のエコー検査で,臍帯を含めた構造異常のtargetedスクリーニングは重要で,胎児構造異常,IUGRのある場合,染色体検査を行うことが必要であり,さらに出生後には精密検査が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
315-315, 2001
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