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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題(奨励賞候補演題)】
リプロ クロミフェン-AIH療法におけるクロミフェン早期投与の有用性
和田 麻美子, 笠井 剛, 永井 聖一郎, 鈴木 孝太, 山中 智哉, 藤江 道子, 内田 雄三, 水野 薫子, 小川 恵吾, 平田 修司, 星 和彦
山梨医科大学産婦人科
[目的]クエン酸クロミフェン(CC)+AIH療法は軽症排卵障害症例の治療法として定着している.しかし,CCにより十分な卵胞発育が得られるものの,必ずしも妊娠率は高くない.理由のひとつとして抗エストロゲン作用により引き起こされる子宮内膜異常が着床の妨げになっていることが挙げられる.CCの半減期は5日であり,投与開始を従来より早めることで着床時の子宮内膜への影響は減らせると予測できる.今回われわれはCCを月経周期1日目から投与することで子宮内膜の厚さ妊娠率に改善がみられるかどうかについて検討した.[方法]2000年1月から2001年3月までに当科でCC-AIH療法を行ったのべ98例のうち男性因子症例を除外した75例を,CC(50〜100mg)を月経周期1日目から投与したDay1群(N=32)と5日目から投与したDay5群(N=43)に分け,hCG投与日に観察した子宮内膜の厚さおよび妊娠率について比較検討した.さらに,両方の投与法を施行されている7症例に関しても検討した.なお,hCG投与は主席卵胞の大きさが20mmになった時点とし,AIHはhCG投与後24時間後とした.[成績]子宮内膜の厚さはDay1群で9.2±3.3mm,Day5群で7.3±2.8mmと有意差を認めた(P<0.01).妊娠率についてはDay1群(13.0%)とDay5群(7.0%)の間で有意差は認められなかった.両方の投与法を施行されている7症例では,子宮内膜の厚さはDay1投与時にDay5投与時より有意に厚くなった(P<0.05).Day1投与時に妊娠が1例認められた.[結論]クロミフェンを従来どおり5日目から投与している症例で子宮内膜が薄いものに対しては,1日目からの投与を試みる価値があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
316-316, 2001
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