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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))

【一般演題(奨励賞候補演題)】
リプロ
抗リン脂質抗体症候群合併不育症妊婦に対し抗体吸着療法を施行し,生児を得た1例


荷見 よう子, 三木 明徳, 菊池 昭彦, 藤井 知行, 久具 宏司, 上妻 志郎, 武谷 雄二
東京大学医学部産婦人科


 不育症の原因の一つとして抗リン脂質抗体症候群があり,抗リン脂質抗体価の低下や凝固抑制を目的とした治療が行われる.今回我々は抗リン脂質抗体症候群合併不育症妊婦に対し抗体吸着療法を施行し,生児を得た1例を経験したので報告する.症例は40歳,4経妊1経産,過去3回それぞれ10,14,16週で子宮内胎児死亡を起こし,4回目妊娠時の妊娠9週に当科へ紹介受診した.抗カルジオリピン抗体強陽性と診断され,妊娠10週からステロイド投与,ヘパリン持続皮下投与を行ったが,妊娠28週時子宮内胎児死亡に至った.今回は妊娠前からステロイド投与を行い,抗カルジオリピン抗体価が低下した時点で妊娠成立.妊娠5週時からステロイド投与に加え,ヘパリン持続皮下投与を開始した.妊娠23週から児発育の鈍化を認めたので血漿抗体吸着療法を開始したところ,児発育の改善および抗リン脂質抗体価の低下が認められた.妊娠28週から妊娠中毒症の急速な増悪をみとめ,妊娠29週2日,重症妊娠中毒症にて腹式深部帝王切開術を施行し,児娩出に至った.児は978gの女児でアプガースコアは1分後6点であった.胎盤には小梗塞巣を認めた.強度の抗リン脂質抗体症候群に対し集学的治療法を用いることで生児を得ることが可能となった症例を文献的考察とともに報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 317-317, 2001


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