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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題(奨励賞候補演題)】
腫瘍 当科における妊孕能温存手術を行った卵巣癌症例の検討
後藤 友子1), 長井 智則1), 斎藤 麻紀1), 大久保 貴司1), 小林 浩一2), 林 直樹1), 石原 理1), 竹田 省1)
埼玉医大総合医療センター産婦人科1), 同周産期母子医療センター周産期センター2)
【目的】卵巣癌患者で妊孕能温存手術を行った症例について卵巣機能の温存を含めた予後について検討した.【方法】対象は1988年から2000年の間に当院で妊孕能温存手術が行われた境界悪性腫瘍を含む卵巣癌患者30症例で,年齢は9〜38歳で平均26歳,未産婦27例,経産婦3例であった.組織型は上皮性腫瘍18例,胚細胞腫瘍11例,性索間質性腫瘍1例で,臨床進行期はIa期16例,Ic期10例,IIc期1例,IIIc期3例であった.抗癌剤を投与された症例は16例で,各1〜7コース,SLOは3例に施行されていた.また卵巣機能温存を目的とし同意を得て化学療法中にGnRHaを併用した症例が8例あった.【成績】術後化学療法を行わず経過観察中再発を認め治療を開始した症例が胚細胞腫瘍に2例あったが,全症例が無病生存しており生命予後は良好であった.抗癌剤総投与量が多かった症例は卵巣機能の廃絶をみたが,ほとんどの症例は治療終了後数ヶ月で月経が発来した.5コース以上の化学療法を行った症例の治療終了後の無月経期間は,GnRHaを併用していない症例が2.5〜6ヶ月,併用した症例が2.5〜3ヶ月であり,GnRHaを併用した症例は,年齢,投与期間が同様の併用していない症例に比較して無月経期間が短い傾向を認めた.また,年齢が高い症例では月経の発来が遅延していた.【結論】挙児希望を有する若年女性の卵巣癌治療では,組織型,進行期の考慮が必要ではあるが全体として妊孕能温存手術を行っても充分な長期予後が期待されること,また通常量の化学療法では卵巣機能の回復が見込まれるが総投与量が多い場合は機能廃絶が起こりうること,GnRHa併用により機能回復までの期間が短縮される可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
322-322, 2001
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