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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題(奨励賞候補演題)】
腫瘍 当教室におけるPaclitaxelの使用成績
古堅 善亮, 田口 雄史, 寺尾 泰久, 鈴木 千賀子, 宮井 健太郎, 吉田 幸洋, 木下 勝之
順天堂大学医学部産婦人科
(目的)1998年より当教室では上皮性卵巣癌の化学療法として,Paclitaxel(TXL)を導入した治療法に変更している.今回その効果と副作用について検討した.(対象と方法)対象は上皮性卵巣癌67例で,45例が初回治療,22例は再発例で,組織型は漿液性線癌が52.2%と最も多かった.平均年令は58.4歳であった.化学療法のレジメンはCDDP+TXL(シス群)またはCBDCA+TXL(カルボ群)である.投与方法はCDDPは75mg/m2を2時間で,TXLは175mg/m2を3時間で,CBDCAはAUC5となる量を2時間で投与した.(成績)奏功率についてみるとシス群で75%,カルボ群で56%と,ややシス群で高かったが有意差はなかった.副作用に関しては,グレード3以上の白血球減少が約15%程度であるのに対して好中球減少は約50%と高度であった.血小板減少は両群とも非常に低値であった.次に神経毒性では,シス群で約83%,カルボ群でも約73%と高頻度に出現していたが,グレード3の症例は10%以下であった.悪心嘔吐はシス群が17.4%とカルボ群の9.1%と比較して高頻度に出現していた.腎機能障害はシス群で8.7%に正常域を越えてクレアチニンの上昇を認めたがカルボ群ではほとんど腎障害例は認めなかった.(結論)化学療法の奏功率はシス群のほうがカルボ群より高かったが,有意差はなく,いずれのレジメンでも明細胞線癌に対する効果は不十分であった.副作用の点ではカルボ群ではレジメンを変更させるような副作用がほとんど出現しなかったため化学療法を完遂できることができ,カルボの有利な点と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
322-322, 2001
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