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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題(奨励賞候補演題)】
腫瘍 骨盤リンパ節廓清術における骨盤腹膜無縫合術式の検討
杉浦 賢, 田中 躍, 武内 務, 加藤 久盛, 中山 裕樹
神奈川県立がんセンター臨床研究所産婦人科
【目的】骨盤リンパ節廓清術後において,骨盤腹膜は縫合すべきでないとの報告が見られる.骨盤腹膜無縫合術式が骨盤死腔細菌感染予防,リンパ嚢腫予防,リンパ浮腫予防に有用であるか否か検討した.【方法】2000年8月より骨盤リンパ節廓清術で骨盤腹膜を無縫合とし,経腹壁ドレーンを3日程度で抜去する方針とし,7月までの骨盤腹膜を合成吸収糸で連続縫合し経腹壁ドレーンを排液量50ml/day以下となった時点で抜去した症例と比較した.【成績】(1)広汎子宮全摘術で骨盤腹膜縫合症例は14例,骨盤腹膜開放症例は9例であった.2cm以上のリンパ嚢腫発生した症例は腹膜閉鎖14例中6例(42.9%),腹膜開放9例中2例(22.2%)だった.下肢あるいは陰部浮腫発生は腹膜閉鎖14例中0例(0%)腹膜開放9例中2例(22.2%)だった.(2)子宮体癌,卵巣癌症例で骨盤および傍大動脈リンパ節廓清術施行症例は37例あり,骨盤腹膜縫合21例と骨盤腹膜開放16例を検討した.2cm以上のリンパ嚢腫発生は骨盤腹膜縫合21例中11例(52.4%),骨盤腹膜開放16例中6例(37.5%),下肢あるいは陰部浮腫発生は骨盤腹膜縫合21例中5例(23.8%),骨盤腹膜開放16例中4例(25.0%)だった.【結論】骨盤腹膜開放術式は腹膜縫合閉鎖術式に比してリンパ嚢腫発生が少ない傾向が見られた.また腹膜縫合症例と比してドレーンに関連した細菌感染は少ない傾向があったが,下肢,外陰部の浮腫発生はやや多かった.重篤な合併症の見られなかったことと,諸家の報告を考えあわせると骨盤腹膜開放術式は施行可能な方法であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
323-323, 2001
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