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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【シンポジウム】
周産期


竹田 省
埼玉医科大学総合医療センター


 産科領域における管理法や治療指針は,教育機関の方針や個々の長年の経験に基づいて
形作られるため,施設により大きく異なることが多い.近年,欧米を中心にrandomized
controlled trial により導き出された管理指針が紹介され,標準治療として取り上げられて
いる.助産所,診療所から総合周産期センターまでお産を取り扱う施設はさまざまで,規
模,人員,対象症例など医療状況が大きく異なるため,一律の管理方針はそぐわない.し
かしこのような管理指針は,何も異に感じなかった従来のやり方や経験主義の方針を一度
見直し,より患者のQOL にも配慮し,納得して治療を受けられる医療の参考になると考え
られる.今回,特に分娩方針や薬剤の使用法についてのガイドラインを紹介し,保険診療
との整合性についても考察する.
 産科領域での薬剤の使用には,切迫流産におけるhCG ,切迫流早産に対する子宮収縮抑
制剤,抗生剤予防投与,子宮内膜炎の治療,子宮収縮剤,胎児肺成熟へのステロイド投与,
妊娠中毒症に対する薬物療法など多岐にわたる.切迫流産への無駄なhCG 投与や予防抗生
剤の濫用が問題視されている一方で,硫酸マグネシウムの子宮収縮抑制効果や肺成熟への
ステロイド投与など有効性が認められているにもかかわらず保険適応がないものもある.
 骨盤位分娩,双胎分娩,帝王切開既往妊婦の分娩方針などは,施設の状況,緊急帝王切
開開始までの時間などに管理方針は大きく左右されるため標準化は難しい.各施設での方
針を決めておくことが大切である.
 骨盤位牽出術や鉗子遂娩術などの産科技術の習得は分娩数の減少,医療訴訟の増加や教
育の困難さから技術レベルの低下がみられ,管理法の選択決定因子ともなっている.管理
法やガイドラインを議論する際には医療事情や技術レベルにまで踏み込まなければなら
ず,その評価,実践は難しい.
 一律なガイドラインの実践は困難であるが,患者への情報提供の資料として,管理方針
の説明資料として有用であり,また無駄の少ない保険診療制度の中核となる治療指針,管
理指針となる.さらに医療レベルの向上,標準化には統計手法を用いたガイドラインは診
療の方向性を示す上で重要と思われる.実際の運用では,患者の希望やQOL を考慮し,ま
た医療施設状況などにより柔軟に運用されるべきである.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 100-100, 2002


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