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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(1) ホルモン補充療法中に子宮体癌を発症した3症例の検討
水口 恵理子, 吉木 尚之, 坂田 優, 宮坂 尚幸, 坂本 秀一, 久保田 俊郎, 麻生 武志
東京医科歯科大学産婦人科
ホルモン補充療法(HRT)は,更年期障害の治療および骨粗鬆症,動脈硬化の予防に広く用いられているが,一方でエストロゲン依存性腫瘍発生の危険を増加させる可能性がある.今回当科でHRT施行中に子宮体癌を発症した3症例を経験したので,その臨床経過について検討し報告する. HRT開始時の年齢は36〜48歳で,子宮体癌と診断されたのは45〜60歳,全例HRT開始後9年以上経過していた.HRTとしては結合型エストロゲン(CEE)0.625mg,酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)2.5mgの連続療法が1例,CEE0.625mg,MPA2.5mgの周期的療法が1例,CEE1.25mg,MPA2.5mgの周期的療法が1例であった.全例,異常が発見される1年以内に子宮内膜細胞診を施行されており,異常所見は認められていなかったが,その後不正性器出血を認め,子宮内膜細胞診にて疑陽性,子宮内膜組織検査にて子宮体癌と診断された.術前の経腟超音波断層法検査による子宮内膜の厚さは9〜22mmであった.全例に根治手術が施行され,病理組織診断はいずれも類内膜腺癌で,組織分化度はG1が2例,G3が1例,臨床進行期分類はstageIaが1例,Ibが2例であった.術後再発症例は,現在認められていない. 長期にHRTを施行している症例では,性器出血のパターンや不正性器出血の有無に注意し,定期的に子宮内膜細胞診や経腟超音波断層法検査による子宮内膜厚の計測を行い,MPAの使用量を含むレジメについて検討する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
107-107, 2002
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