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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(2) 子宮体部G3類内膜癌75症例の予後の検討―G2群との比較を含めて―
桑原 佳子, 進 伸幸, 金杉 優, 瀬藤 江里, 片岡 史夫, 内藤 恵美, 東口 敦司, 阪埜 浩司, 鈴木 直, 青木 大輔, 吉村 泰典, 野澤 志朗
慶應義塾大学産婦人科
【目的】一般的に子宮体部G3類内膜癌は予後不良と言われているが,再発を認めないものも少なくなく,G3症例の中ではどの臨床病理学的因子が予後に大きな影響を及ぼすのか検討した.【方法】1975年から2000年7月までに当院にて手術を行った子宮体部類内膜癌705例のうち,G3症例75症例(手術進行期I期33例,II期5例,III期29例,IV期8例)を対象として,Kaplan-Meier法を用いて生存率を算出し,Log-rank法にてG1,G2症例群と統計学的に解析した.また予後不良因子に挙げられている筋層浸潤深達度,リンパ節転移,脈管侵襲などの項目についてχ2乗検定を用いて解析した.【成績】G3症例の5年生存率はI期93.4%,II期100,III期63.7%,IV期29.2%であった.全進行期では,5年生存率,5年健存率は各分化度群間に有意差を認め,低分化であるほど予後不良であったが,III期症例ではG2群とG3群では5年生存率と5年健存率に有意差は認められなかった.I期症例ではG2群の健存率は術後2年まではG1群とほぼ同率であるものの,2年以後は低下が著しく6年以降でG3群とほぼ同率を示した.G3群の予後因子については,リンパ節転移陽性(p=0.0014),腹水細胞診陽性(p=0.0098),頸部進展(p=0.027),付属器転移陽性(p=0.026),が5年生存率に関して有意な予後不良因子であった.筋層浸潤深達度1/3以上,脈管侵襲,子宮傍結合織進展は有意ではなかった(p>0.05).【結論】G3症例では,子宮体部内の進展程度(筋層浸潤など)よりも,子宮体部外進展の程度(リンパ節転移,頸部進展など)がより大きく予後に影響を与えていた.またG2の子宮外進展例はG3症例とほぼ同様の不良な予後を示すことが確認された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
108-108, 2002
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