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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(3) 術前化学療法が有効であった子宮体癌3期の1例
田中 利隆, 荻島 大貴, 鈴木 千賀子, 西岡 暢子, 寺尾 泰久, 古堅 善亮, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
子宮体癌に対する術前化学療法に関して確立された方法はない.子宮体癌3期症例に対し,VP16,CBDCA,epi-ADRによる術前動注化学療法を行い外科的切除が可能になった1例を経験したので報告する.症例は54歳の女性.1経妊0経産.閉経52歳.平成13年7月30日,不正性器出血及び下腹部痛を主訴に当科紹介受診.子宮内膜細胞診ClassV,内膜組織診でadenocarcinomaを認め子宮体癌の診断となる.8月31日開腹術施行するが,子宮漿膜外への癌組織の浸潤と癌性腹膜炎による強固な癒着により,3期と診断し試験開腹で終了した.術後,動注化学療法を3コース施行した.右側は子宮動脈より,左側は内腸骨動脈よりVP16 300mg,CBDCA 450mg,epi-ADR 40mgを投与した.動注3コース後,骨盤部MRIで子宮体部測定可能病変の72%の縮小率が得られ,11月28日,子宮全摘,両側付属器切除,骨盤リンパ節郭清,傍大動脈リンパ節生検を行った.腸管の癒着も容易に剥離でき,肉眼的に腫瘍を完全摘出できた.病理組織学的には子宮体部の類内膜腺癌で広範囲に壊死を認めた.また,子宮漿膜破綻部及び腸管表面,腹膜への癌の播種性病変も壊死や肉芽組織に置き換わっていた.化学療法組織学的効果判定基準ではGrade 2であった.術後,経静脈的にVP16 300mg,CBDCA 450mg,epi-ADR 40mgを3コース投与し,現在再発徴候なく経過している.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
109-109, 2002
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