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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(4)
子宮血管肉腫の一例


高橋 千絵, 中井 弘美, 福嶺 紀隆, 藤東 淳也, 野平 知良, 岡部 一裕
東京医科大学八王子医療センター産婦人科


 子宮に発生する腫瘍の中でも血管肉腫は非常に稀な疾患であり,本邦での報告例はなく,世界的に見ても19例が報告されているにすぎない.今回,我々は子宮に原発した血管肉腫の一例を経験したので報告する.症例は75歳,3経妊2経産.平成10年ごろより帯下の増量を主訴に近医受診,子宮筋腫の診断にて経過観察されていたが,平成12年4月不正性器出血を主訴に同院受診したところ,腫瘍の著明な増大を認めた.子宮内膜細胞診にてclass V(肉腫疑い),子宮内膜組織診にて子宮肉腫であり当科紹介受診となった.子宮頚部細胞診はclass IIだった.初診時の経腟超音波検査,CT,MRI上,子宮後壁に直径約10cmの腫瘍を認めた.また,腫瘍マーカーはCA125,CA19-9,CEA,TPA,SLX,LDHともに正常範囲内であった.6月19日拡大子宮全摘術施行.術後の病理組織診断で子宮血管肉腫と診断された.以後経過観察していたが,平成12年8月胸椎転移が認められた.転移部位に疼痛除去目的にて放射線療法施行,疼痛コントロール良好にてターミナルケアのため他院へ転院となったが,転院先にて平成13年1月18日に死亡した.血管肉腫は皮膚,軟部組織,胸部,脾臓,肝臓,骨に多いが,子宮では極めて稀である.子宮血管肉腫は予後が悪く,1年生存率は50%以下といわれている.症例数が少ないため,診断や治療には不明な点が多く,その取扱いについては子宮平滑筋肉腫に準じた方法がとられる.しかし,放射線や化学療法を施行しても効果がない場合が多い.今後,症例のさらなる蓄積と,取扱いについての検討が必要と思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 110-110, 2002


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