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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(7) 全身転移再発後,化学療法中にDICを来した,子宮体癌Ic期の症例
井村 昌義, 金子 英介, 池田 誠, 木下 二宣, 川名 敬, 山田 学, 中川 俊介, 八杉 利治, 久具 宏司, 堤 治, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
子宮体癌は子宮癌の約30%を占め,頚癌とは対照的に我が国でも近年増加傾向にある.今回,初回治療後約2カ月で腫瘍マーカーの再上昇を認め,諸検査でVirchowリンパ節を含む全身転移が確認され,化療施行直後にDICを来し,対症療法により一時的に回復した後,再びDICを来し,化療後1か月半で死亡の転帰を辿った,体癌Ic期の症例を経験したので報告する.【症例】61歳6回経妊4回経産の患者.01年2月,不正性器出血を主訴に近医受診,内膜生検にてadenocarcinoma認められ,3月2日当科紹介初診.術前診断子宮体癌II期にて,4月5日広汎子宮全摘+傍大動脈リンパ節郭清施行.術後診断は体癌Ic期(pT1cN0M0).術後補助化学療法としてWP計50Gy施行後,6月12日退院,外来管理とした.退院時のマーカーは正常化していたが,外来にて10月までにCA125 284,CA19-9 250と急激に上昇し,Virchowリンパ節も触知されるようになった.10月26日再入院となり,諸画像上,肺・肝・全身骨への転移認め,左鎖骨上リンパ節生検でも転移巣として矛盾しない病理所見が確認された.再発に対する治療として,11月19日DXR+CDDPの全身投与を施行.同日夕よりDIC発症,対症療法にて改善,マーカーも治療直前と比較しCA125 4302→425,CA19-9 3066→714と低下した.しかし間もなく再燃,02年1月2日永眠した.【結語】本症例は,規約上は体癌Ic期であり,病理所見もendometrioid adenocarcinoma(G1)であったが,筋層にdiffuseに増殖浸潤していたこと,脈管侵襲,特に静脈侵襲が著明であったこと,免疫組織化学染色でp53が強陽性であったこと,等の病理組織学的特徴により,劇的な転帰を辿ったと考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
115-115, 2002
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