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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍その他(2) 上部消化管狭窄を来たした卵巣癌傍大動脈リンパ節郭清術後リンパ嚢胞の一例
山本 泰弘, 豊岡 理恵子, 寺内 文敏, 小倉 久男
東邦大学第2産婦人科産婦人科
産婦人科悪性腫瘍術後合併症としてその10%から20%程度にリンパ嚢胞が認めらるとの報告がある.その多くは小さく無症候性であるが,時に後腹膜より発生した占拠性病変として消化管や尿路系の圧迫症状などを呈する例が認められる.症例は43歳,3回経妊2経産,他院にて卵巣腫瘍摘出術・単純子宮全摘施行され,病理にて卵巣癌と診断,追加治療としてリンパ節郭清および化学療法施行目的に当院紹介された.追加療法として,所属リンパ節郭清術・腎静脈のレベルまでの傍大動脈リンパ節郭清術・大網切除術・虫垂切除術を施行した.その際,骨盤腹膜およびリンパ節郭清部位の腹膜は無縫合とし,ペンローズドレーン留置し経腹的にドレナージを行った.ドレーンは術後9日目に抜去した.その後Taxol+Cisplatinのstandard protocolによる化学療法を開始したところ,嘔吐頻回となり制吐剤にて改善が認められなくなった.また,腹部膨満感も出現したため術後癒着性イレウスを疑い治療したが,経口摂取再開とともに嘔吐出現した.精査したところ上部消化管造影にて十二指腸上行部からトライツ靭帯にかけての壁外性圧迫による著明な狭窄を認め,上腹部CTおよびMRIにて腎門部に消化管および両側腎を圧排するように長径10cm程度のリンパ嚢胞を複数認めた.保存的治療は困難であるとの判断にて,開腹リンパ嚢胞ドレナージ・造袋術を施行したが狭窄の十分な改善には至らず,再度開腹にて十二指腸空腸吻合術施行した.術後,症状改善し化学療法再開した.その後,リンパ嚢胞の再発を認めるが明らかな消化器症状を認めないため退院,外来にて経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
119-119, 2002
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