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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍その他(2) 神経症状により癌性髄膜炎が発見された卵巣癌の一例
吉野 百合子, 小川 博和, 木村 正博, 石井 康徳, 富岡 康広, 石原 理, 畑 俊夫
埼玉医科大学産婦人科
癌性髄膜炎は腫瘍細胞の軟膜へのびまん性あるいは播種性転移で固形腫瘍の1〜5%に起こるとされる.原発巣として乳癌,肺癌,胃癌が多いが,卵巣癌における発症はきわめて稀である.今回我々は神経症状から癌性髄膜炎を疑い,髄液細胞診で腺癌細胞が同定された卵巣癌症例を経験したので報告する.【症例】61歳,2回経妊,2回経産婦.腹部膨満感を主訴に前医受診,腹部CTにて著明な腹水の貯留と骨盤腔内に左附属器原発と思われる表面凹凸不整な手拳大の腫瘤を認め当科紹介となる.腹水細胞診ではclass V(adenocarcinoma),CA125が2425.6,SLXが2000と上昇,以上より卵巣癌IIIcと診断した.全身状態不良のためneoadjuvant chemotherapyとしてT-J4コース施行後開腹し,単純子宮全摘+両側附属器切除+リンパ節廓清術を施行した.術後の病理所見は卵巣原発serous papillary adenocarcinomaであった.術後化学療法はCAPへ変更し2コース施行したが,腫瘍マーカーが再上昇,腹水再貯留が認められ,癌性腹膜炎の状態であった.平成14年1月初めより頭痛,腰痛,歩行困難が出現し,軽度の項部硬直が認められたため,髄液細胞診を施行したところ腺癌細胞が同定された.癌性髄膜炎と診断しMTX5mg髄腔内投与したところ,これらの髄膜刺激症状は1回の注入で消失した.現在,1週間ごとのMTX5mg髄腔内投与にて経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
119-119, 2002
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