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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍その他(2) 洞不全症候群(SSS)合併子宮頚癌2例の周術期管理について
太田 篤之1), 末永 昭彦1), 斎藤 麻紀1), 大久保 貴司1), 小林 浩一2), 林 直樹1), 石原 理2), 竹田 省1)
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科1), 埼玉医科大学産婦人科2)
洞不全症候群(SSS)とは洞機能障害により洞徐脈,洞停止,洞房ブロックなどが出現するものをいう.約40%は虚血性心疾患に合併するが,特発性のことも多い.失神,眩暈,狭心症,心不全症状等が出現するが,一過性の場合通常の心電図検査では診断が困難なため,ホルター心電図や心房電気刺激試験が必要である.今回子宮頸癌の術前にSSSと診断された2症例を経験したので,文献的考察を加え周術期管理について報告する.『症例1』57歳女性,2G0P.子宮頸癌IIb期の診断にて入院.心電図上異常Q波を認め陳旧性心筋梗塞が疑われたが,心エコー上異常なし.術前動注化学療法(CBDCA,Etoposide)を施行したが,2回目の動注施行後心拍数が40台の洞性徐脈を認め,SSSI型と診断された.無症状のため術前にペースメーカーを使用せず広汎子宮全摘術を施行.術中心拍数が60台と低下したがドパミンを使用し安定した.術後徐脈発作なく放射線療法施行後,退院となった.『症例2』62歳,2G2P.子宮頚癌Ib期の診断にて入院.術前心電図にて心房細動を伴う徐脈(心拍数20台)を認め,SSSIII型と診断された.埋め込み式ペースメーカー挿入後,手術を施行.術中,術後は特に異常を認めず,ペースメーカー除去後退院となった.『考察』SSS合併周術期管理として軽い症状の場合は経過観察や対症療法で良いとされるが,心拍数が30以下の場合術中のペーシングや手術時間の短縮等が必要となる.動機,眩暈のある症例ではSSSを考慮し,術前の長時間心電図記録により,症状と心電図変化との関係を調べる必要があると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
119-119, 2002
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