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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮頸部悪性腫瘍(1) 当院での下平式高周波手術器とYAGレーザーによる円錐切除術の比較,検討
渕之上 史, 金枝 貴史, 小平 博, 土岐 政嗣, 今井 一夫
横須賀市立市民病院産婦人科
従来子宮膣部異形成・上皮内癌に対しcold knife+Sturmdorf縫合やレーザーを用いた円錐切除などが行われてきた.以前より開業医を中心に利用されていた下平式高周波手術器を用いて当院でも平成13年7月より同手術を静脈麻酔下に施行している.今回我々は平成9年から13年まで当院で施行された下平式18例とYAGレーザー法58例につき比較検討をし,その有用性につき検討した.なおYAGレーザー法は腰椎麻酔下で施行した.平均手術時間は下平式が9.5分,レーザー式が20.8分,また平均入院日数は下平式が3.0日,レーザー式が9.4日と下平式において両者ともに有意に短縮を認めた.手術後に治療を必要とした出血症例は下平式が1例(5.6%),レーザー式が3例(5.2%)と両者とも有意な差は認めなかった.下平式では術後約1週間以降より数週間に出血を見ることがあり,再生酸化セルロース等を使用することにより術後出血を抑制できる印象である.根治性につき両者間でsurgical marginの有無で判定した.下平式での断端陽性率はdysplasia 0%,CIS 5.6%(1/18),YAGレーザー法ではdysplasia 1.7%(1/58),CIS 3.4%(2/58),CC Ia,Ib 6.9%(4/58)でありすべて頸管内の病変であったが根治性に関しては両者に有意差は認められなかった.切除断端面の凝固変性については下平式は平均0.29mm,レーザー式では平均6.17mmと下平式の方が変性は軽度であった.今後外来での応用も含め症例を重ね下平式高周波円錐切除術の有用性につき,さらに検討を加えたい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
120-120, 2002
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