|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮頸部悪性腫瘍(2) 尿閉を主訴とした子宮頸部悪性腺腫(adenoma malignum)の2例
岡本 三四郎, 高野 政志, 佐々木 直樹, 喜多 恒和, 菊池 義公
防衛医科大学校産婦人科
子宮頚部悪性腺腫は子宮頸癌取り扱い規約により子宮頚部粘液腺癌の特殊型と分類され,その頻度は子宮頚部腺癌の約1%と比較的稀であるとされている.形態的には細胞異型が乏しく良性病変との鑑別が困難な場合が多いため早期発見は困難である.初発症状として水様性帯下,不正性器出血が大部分を占めるが,尿閉を主訴として発見される例は極めて稀である.今回我々は,子宮頚部悪性腺腫により尿道が圧迫され尿閉をきたした2例を経験し,術前の細胞診・組織診及び画像診断と術後の病理診断について検討したので文献的考察を含めて報告する.症例1;46歳,2経妊2経産.急性の排尿障害で近医を受診し,ダグラス窩に存在する卵巣腫瘍による尿閉が疑われ当科紹介受診.MRI検査にてダグラス窩に径12cmの多房性嚢胞を認め卵巣腫瘍が疑われたが,腫瘤前面で子宮頚部の伸展を認め子宮頚部腫瘍の可能性も示唆された.頚管細胞診はClass II.腹式単純子宮全摘術と左付属器切除術を逆行性に施行し,病理診断は子宮頚部悪性腺腫(stage IIa)であった.術後CAP療法3コース施行し,現在経過観察中である.症例2;48歳,0経妊0経産.排尿障害を主訴に近医受診し,子宮頚部腫瘍の診断にて当科紹介受診.MRI検査にて子宮頚部前面に径6cmの嚢胞性腫瘤を認め,子宮頚部悪性腺腫が強く疑われた.3回目の頚管細胞診でClass IVと診断された.頚管組織診では異常所見を認めなかった.広汎子宮全摘術施行し,病理診断は子宮頚部悪性腺腫(stage Ib2)であった.現在経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
121-121, 2002
|