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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮頸部悪性腫瘍(3) 254-S及びCPT-11併用による術前化学療法が奏効した肺転移を有する子宮頸癌IVb(腺扁平上皮癌)の1例
板垣 智昭, 長谷川 明俊, 市原 三義, 依田 暁, 清水 篤, 満川 元一
水戸赤十字病院産婦人科
子宮頸部に限局した進行頸癌に対し,術前化学療法(NAC)後手術療法施行し,化学療法ないし化療と放射線療法の併用というstrategyがEBMを得つつある.今回我々は肺転移を有するIVb期(腺扁平上皮癌)に対し254-SとCPT-11のNAC後肺転移巣に奏効が得られたため,手術療法施行し,追加化学療法後stable diseaseを保つ症例を経験したので報告する. 症例は72歳2G2P,平成12年3月数カ月前より持続的不正出血,貧血(Hb 4.0)で紹介初診となった.smear C-V,punch,adenosquamous carcinoma,pleural effusion認め,胸膜転移さらに実質への転移を示したためstageIVbと診断した.根治術不可によりsalvageを意図し,254-S+CPT-11のchemotherapy 3course[(254-S 100mg/body bolus day1),(CPT-11 75mg/body day1,8,15)]施行した.胸水消失,転移巣はPRが得られ,広汎子宮全摘術施行された.摘出物はmargine negativeでリンパ節転移は認めなかった.肺転移巣に対し同様の化療を3course追加後退院し外来管理中である.13年11月胸部CTにてre-growthは認めていない.CDDP(IA)及びCPT-11(IV)のregimenが進行頸癌に対する治療として有力となりつつある.プラチナ製剤の使い分けに関して,その薬理動態を考慮し,遠隔転移へは254-SがCDDPより優れるとの観点から本症例は254-Sを選択したが,この結果はそれを支持するものとなった.しかし,有害事象として血小板輸血を要したgrade3の骨髄抑制が認められた.進行頸癌において手術可能なら手術及び放射線療法,不能なら放射線療法の治療成績が頭打ちとなっている現状では,本法は有力なstrategyと位置付けられる可能性があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
123-123, 2002
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