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<< 学会誌へ戻る 卵巣境界悪性腫瘍の組織学的特徴の一つとして，間質浸潤の欠如がある．今回我々は術前に卵巣悪性腫瘍と診断し，手術所見でも腹腔内播種病変を著明に認めていたのにもかかわらず，組織学的には間質浸潤を認めず，卵巣境界悪性腫瘍と診断された2例を経験したので報告する．症例1は43歳の5回経妊3回経産女性で，腹痛を主訴に某医を受診し，下腹部に巨大な腫瘍を認め当院に紹介となった．卵巣悪性腫瘍の診断で開腹術を施行した．左右卵巣は腫大し表面は乳頭状に増殖しており，腹腔内播種病変を多数認め，腹水細胞診はclass Vであった．単純子宮全摘術，両側付属器切除，大網切除術を施行した．病理診断はserous papillary cystic tumor of borderline malignancyであった．症例2は25歳の1回経妊0回経産女性で，月経困難，腰痛を認め某医を受診し，両側卵巣腫瘍を指摘され，当院紹介された．卵巣腫瘍（内膜症性嚢胞）の診断で経過観察していたが，初診より約1年9カ月後，超音波検査で腹水の貯留と左卵巣腫瘍の増大を認めた．腫瘍の一部には充実性部分を伴っていた．卵巣悪性腫瘍の診断で，開腹術を施行した．左右卵巣表面は粗造で乳頭状に増殖し，腹腔内播種病変を多数認めた．腹水細胞診はclass IIIであった．単純子宮全摘術，両側付属器切除，大網切除術を施行した．病理診断はserous papillary cystic tumor of borderline malignancyであった．現在2症例とも追加治療として化学療法を施行し経過観察中である．卵巣境界悪性腫瘍III期の治療と予後について文献的考察を加え検討する． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 125-125, 2002 |
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