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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍(2) 化学療法中にGrowing Teratoma Syndromeを呈した卵巣未熟奇形腫の一症例
多賀谷 光, 笠井 剛, 本多 つよし, 小林 洋子, 萩原 俊太郎, 小室 真祐子, 藤江 道子, 端 晶彦, 平田 修司, 星 和彦
山梨医科大学産婦人科
Growing Teratoma Syndrome(GTS)は化学療法中あるいはその後に腫瘍サイズが増大し,組織学的には腫瘍は成熟奇形腫であるという点により特徴づけられる病態である.今回,我々が経験した卵巣未熟奇形腫の症例は,初回手術時の残存腫瘍が術後の化学療法抵抗性に増大したため二次的に手術切除したところ,病理学的診断にてGTSと考えられた.<症例>21歳,未経妊.腹部膨満,腹痛にて発症.受診時,腹部およびダグラス窩の腫瘍と腹水貯留を認め,血清AFP,CA125,SCCが高値であった.腹水細胞診および画像所見より未熟奇形腫と診断し,手術により原発巣である右卵巣,ダグラス窩等の播種性病変を切除した.左卵巣,子宮は妊孕性を考慮し温存した.上腹部の播種巣は術後化学療法の効果を期待し切除しなかった.組織学的には原発巣,播種性転移巣ともに未熟奇形腫であり,Grade2,Stage IIIcの診断であった.術後CDDPの腹腔内投与2コース,BEP療法1コース施行したところ,血清AFPは治療反応性に低下し感受性があるように思われたが,残存腫瘍の一部である横隔膜下の播種性病変は抵抗性に増大し周辺臓器の圧迫症状を呈するようになった.そのため初回手術より2カ月経過後に残存腫瘍切除術が行われた.増大傾向を呈した腫瘍は組織学的に成熟成分のみより構成された成熟奇形腫で,GTSにあたる病態であったと考えた.術後は追加治療としてBEP療法5コース施行し,経過良好である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
126-126, 2002
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