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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
卵巣悪性腫瘍(2)
卵巣未熟奇形腫の3症例


向田 一憲, 齊藤 俊雄, 穴山 玲子, 佐川 泰一, 林 敏, 鈴木 康伸, 清川 尚
船橋市立医療センター産婦人科


 未熟奇形腫は,全卵巣腫瘍中1%以下の頻度で発生する比較的稀な腫瘍であり,様々な成熟度を示す三胚葉成分より構成される卵巣胚細胞性悪性腫瘍の一つである.とくに,幼若な神経外胚葉組織を多く含むほど悪性度が高いとされている.今回,我々は,gradeI〜IIIの未熟奇形腫の3症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例1;29歳,0G-0P,腹満感を主訴に来院.小児頭大の左卵巣未熟奇形腫で,腫瘍の一部は破綻していた.(Stage Ic(a),grade I)手術は左卵巣切除,右卵巣楔状切除術を施行し,術後化学療法は行わなかった.症例2;30歳,0G-0P,下腹部痛を主訴に来院.既往歴として23歳時,右卵巣成熟奇形腫にて右付属器切除を施行している.開腹時,腫瘍は小児頭大の左未熟奇形で腫瘍破裂を起こしており,また 大網に播種性の成熟したGliomatosis peritonei(grade 0)を合併していた.(Stage Ic(a),grade III)手術はインフォームド後左付属器切除,子宮全摘,大網切除,骨盤内リンパ節郭清術を施行し,術後PEP(CDDP,VP16,pepleomaisin)療法4コース施行した.症例3;27歳,1G-1P,腹満感を主訴に来院.小児頭大の右未熟奇形腫(Stage Ia,gradeII)で,手術は右付属器切除,左卵巣楔状切除,大網部分切除,骨盤内リンパ節郭清術を施行し,術後gradeを考慮しPEP療法4コース施行した.現在3症例とも再発・再燃の徴候はなく外来経過観察中である.未熟奇形腫は10代から20代の発生が多く妊孕性を考慮した方針決定が必要となる,妊孕性温存手術と化学療法が一般的となっているが,卵巣機能への影響も考え,今後十分な検討が必要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 126-126, 2002


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