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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
卵巣悪性腫瘍(3)
卵巣原発中胚葉性混合腫瘍の一例


中川 圭介, 久須美 真紀, 川村 久恵, 上里 忠和, 大岡 史子, 蔵持 和也, 梁 善光, 貝原 学
帝京大学医学部附属市原病院産婦人科


 卵巣中胚葉性混合腫瘍(OMMT)は全卵巣悪性腫瘍の1%以下に発生し,平均生存日数6カ月,1年生存率20%とされる予後不良の疾患である.今回我々はこの稀な疾患であるOMMTの一例を経験したので報告する.症例は55歳4経妊3経産婦,01年10月2日性交時痛を主訴に近医受診,超音波診断にて卵巣腫瘍を指摘され当科紹介,初診となる.触診上腫大したVirchowリンパ節を触れ,超音波診断にて径8〜9cmの卵巣腫瘍および著明な腹水を認めた.腫瘍マーカーはCA125;1,700U/ml,AFP;37.0ng/ml,LDH1,788IUと著明に上昇していた.その後腹部CT,MRIで卵巣悪性腫瘍,転移性肝臓腫瘍および腹膜播腫を認め,胸部CTはで右下肺野に転移性腫瘤を認めた.11月20日手術施行,腹腔内には大量の腹水が貯留しており,迅速腹水細胞診はclassVであった.また径8cm大の卵巣腫瘍は非常に脆弱であり,ダグラス窩にも径5cm大に発育した同様の播腫性腫瘍を認めた.術式として腹式単純子宮全摘出術,両側付属器切除術および大網切除術を施行した.病理診断では右卵巣原発のOMMTであり,左卵巣,子宮への転移および大網への播腫を認めた.術後化学療法として12月3日より2コースのIAP療法を行い,CA125は120U/mlに低下したが,AFPは一旦低下した後11.0ng/mlに再上昇し,LDHも400IU台に上昇傾向を認めた.さらにCTで転移性肝臓腫瘍の増大を認めたためPDと判定,02年2月12日よりEAP療法に変更し1コース施行し現在に至っている.本症例について文献的考察を加えて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 128-128, 2002


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