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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍(5) 術前に卵管癌を強く疑わせた1例
齋藤 恵, 菊谷 真理子, 深見 武彦, 吉松 和彦, 松島 隆, 小西 英喜, 可世木 久幸, 石原 楷輔, 荒木 勤
日本医科大学産婦人科
婦人科領域の癌腫の中で,卵管癌は非常に稀である上,術前の診断が非常に困難である.そのため,しばしば進行した状態で診断され,治療も困難とされている.今回,我々は細胞診と画像診断より,術前に卵管癌を強く疑い,術後病理診断にて原発性卵管癌を確定した症例を経験したので報告する.症例は63歳,下腹部痛,頻尿にて近医受診.膀胱炎の診断にて抗生剤投与されるも軽快せず,当科へ紹介となった.初診時,内診にて子宮は鶏卵大,左付属器に圧痛を認めた.子宮内膜細胞診はclass V,内膜組織診では悪性所見は認められなかった.超音波検査で子宮内膜の肥厚は認められなかった.骨盤MRIでは,左付属器付近の腫瘤性病変を疑わせ,腫瘍マーカーCA125は223IU/mlと高値を示した.以上より卵管癌を疑い開腹手術を施行した.子宮は鶏卵大,左右卵巣は正常,左卵管はソーセージ様に約3cmに腫大し卵管采に連続した充実性腫瘍を認めた.準広汎子宮全摘術,両側付属器切除,内リンパ節郭清,大網切除を施行,病理診断は左卵巣原発の低分化型腺癌で,リンパ節,大網に転移が確認され,FIGO分類IIIc期と診断された.術後CBDCA,MMC腹注化療法,Paclitaxel+CBDCA(biweekly)施行し,現在外来で経過観察中である.閉経後の婦人が下腹部痛を呈し,子宮内膜細胞診は悪性だが内膜組織診では悪性所見は認められず,CA125の上昇している場合には,卵管癌の可能性も念頭に置き精査すべきであると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
132-132, 2002
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