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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
良性腫瘍(1) 腹腔鏡下手術を施行した嚢胞性子宮腺筋症の4例
中熊 正仁, 渡辺 慎一郎, 浅川 恭行, 森田 峰人, 久保 春海
東邦大学産婦人科
【はじめに】子宮体部に発生する嚢胞性病変は稀であり,全子宮腫瘍の0.35%を占めるに過ぎない.また,子宮腺筋症においては病変部がび慢性に増殖し,その結果として子宮筋層の肥厚を呈することがほとんどであり,嚢胞性病変を形成する例は稀である.今回,我々は,強度の月経困難症患者に対して超音波検査,子宮卵管造影検査,MRI検査により嚢胞性子宮腺筋症と診断し,腹腔鏡下手術により良好な治療成績を得たので報告する.【腹腔鏡下手術】手術に先立ち,4〜6カ月間のGn-RHa投与を行った.全例,全身麻酔下気腹法,4パンクチャーテクニックで行った.子宮筋腫核出術と同様に,100倍希釈したバゾプレッシンの局所注入を行い,子宮漿膜および筋層をYAGレーザーやハーモニックスカルペルで切開した.2〜3本の把持鉗子で筋腫核出術と同様の操作により病変部を核出した.筋腫核と比較して剥離操作はやや困難であったが,牽引操作を的確に行うことによって核出操作を行うことが可能であった.切開部は筋腫核出と同様に湾曲針を用いた2−0合成吸収糸による縫合を行った.いずれの症例においても術中出血量は極少量で,術後4〜5日目に退院となった.摘出物の病理組織学的検索で,子宮内膜組織が証明され,嚢胞性子宮腺筋症と診断した.術後の月経発来時には症状が完全に消失し,現在は長期予後のフォローアップ中である.【結論】嚢胞性子宮腺筋症と考えられる症例に対しては,文献上,開腹による腫瘤摘出術あるいは子宮全摘術が選択される場合が多い.しかしながら,腹腔鏡下手術手技の発達した現在においては,腹腔鏡下核出術の適応として良いと考えるが,今後も長期予後の検討を行う必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
134-134, 2002
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