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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮内膜症(1) 骨盤内腫瘤を形成し診断に苦慮した卵管内膜症の一例
宇野 雅哉, 大井 理恵, 田島 麻記子, 横浜 祐子, 石川 智則, 遠藤 誠一, 宇田川 秀雄
国保旭中央病院産婦人科
卵管内膜症(endosalpingiosis)は,卵管内膜上皮に類似した腺上皮が異所性に存在するものと定義され,子宮,卵管,卵巣の漿膜に見られる病変である.今回私達は,骨盤内腫瘤を形成し開腹手術を行ったが,診断に苦慮した卵管内膜症の一例を経験したので,多少の文献的考察を加えて報告する.症例は,29歳0回経妊0回経産.元来,月経不順,月経困難症状があった.少量の不正性器出血のため前医を受診し骨盤内腫瘤を指摘され,当院を初診した.内診上,ダグラス窩に腫瘤をふれ圧痛を認めた.経膣エコー上,径7cmの多房性嚢腫像で一部隔壁の肥厚を認めた.MRI上,隔壁に造影効果を認め,一部充実性部分と思われる造影効果のある部分が認められた.腫瘤は子宮との連続性が疑われ,両側卵巣は正常と思われた.CA125が82U/mlと軽度上昇していた.骨盤内腫瘤の精査,摘出目的で開腹術を行った.ダグラス窩に嚢胞性腫瘤を認めるほか,子宮,両側卵管,右卵巣に腫瘤を認めた.腹水細胞診はclass Vであった.腫瘤を一部摘出し術中迅速診断を行ったところ癌腫であることが強く疑われた.このため,腫瘤摘出,両側卵管切除,両側卵巣楔状切除,大網部分切除を行った.術後病理診断は,primary peritoneal serous tumor low grade malignancy with endosalpingiosis,bilateral ovaries and uterusであった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
138-138, 2002
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