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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
子宮内膜症(2)
帝切後瘢痕部に生じた子宮内膜症の一例


五十嵐 雄一1), 飯田 智博1), 鈴木 廉三朗1), 会沢 芳樹1), 苅谷 卓昭1), 野坂 啓介1), 竹内 久清1), 林 和彦1), 石塚 文平2)
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院産婦人科1), 同産婦人科2)


 皮膚や皮下に生じる子宮内膜症は,全子宮内膜症の1.9%であり臍部や鼠径部以外のほとんどは術後瘢痕に発生するといわれる.今回我々は帝王切開術後3年経て瘢痕部皮下に発生した子宮内膜症を経験した.[症例]33歳2-G,2-P(25歳・胎児仮死のため帝切分娩(他院),30歳双胎TTTS+既往帝切のため帝切分娩(当院)).腹壁瘢痕部皮下腫瘤を主訴として平成12年12月再診した.腫瘤の直径は約15mmで月経時に赤く腫れ,疼痛も増悪するとのことであった.腹部CTならびに症状から腹壁子宮内膜症を疑ったが血中CA125は23U/mlであった.当初生検または手術を考えたが同意得られず,平成13年1月より半年間酢酸ブセレリンを使用して腫瘤の縮小ならびに症状の改善が見られたため,再度同意を得て平成13年7月27日腹壁瘢痕摘出術を行った.腫瘤は真皮下,筋膜上の皮下脂肪の中に埋没され比較的境界明瞭であり,表皮・真皮・皮下組織と一塊にして切除した.病理組織学的には子宮内膜間質に類似した結合織の中に腺構造を認め,子宮内膜症と診断した.術後は薬物治療を行わず経過観察しているが,平成14年2月現在再発はみていない.子宮内膜症の発生機序として,旧来移殖説と化生説があり,本症例のごとく帝切後瘢痕部に生じた場合は直接移殖に説得力があるが,不明の点も多く,若干の文献的考察も含め報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 140-140, 2002


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