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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮内膜症(2) 腸管子宮内膜症2症例の検討
萩野 大輔, 小松 篤史, 井上 久美子, 新井 ゆう子, 武知 公博
茨城県立中央病院産婦人科
腸管子宮内膜症は日常臨床で遭遇することは少ないが,必ずしも稀ではないといわれている.今回我々は術前診断されず開腹手術時に認められた腸管子宮内膜症の2症例を経験したので報告する. 【症例1】45歳,未経妊,月経困難症を主訴に受診,子宮筋腫の診断で開腹術を施行した.腹腔内は内膜症性の強固な癒着があり,術中直腸に径5cmの腫瘤を認め,大腸ファイバーを施行したところ内腔の狭窄,粘膜の発赤,不整,易出血性を認めた.また膀胱左背側に径2cmの腫瘤を触知した.単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術に加え,直腸低位前方切除術,膀胱尿管部分切除再建術を施行し,子宮,卵巣,直腸,膀胱,リンパ節と摘出物すべてに内膜症組織を認めた. 【症例2】45歳,2径妊,2経産,月経困難症なし.子宮頸癌Ia期にて開腹術を施行した.術中S状結腸に径3cmの腫瘤を触知,大腸ファイバーを施行し粘膜下腫瘍が疑われた.腹腔内の癒着はなかったが,仙骨子宮靭帯の肥厚とダグラス窩の硬結を認め腸管子宮内膜症が疑われた.拡大子宮全摘出術,骨盤リンパ節郭清術に加え,S状結腸部分切除術を施行した.術後病理診断は子宮内膜症であった. 腸管子宮内膜症は診断が困難な場合が多く,今回経験した2症例とも月経時の下血などの消化器系症状はなく術前の診断は困難であった.開腹時に偶然発見した場合は対応に苦慮することが多く,本2症例においても腸管の悪性腫瘍との鑑別が困難であり腸管切除を余儀なくされた.文献的考察を加え検討したい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
140-140, 2002
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