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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮内膜症(2) 腸管子宮内膜症の各種検査法およびその特徴的所見
広田 泰, 吉野 修, 甲賀 かをり, 大須賀 穣, 藤原 敏博, 百枝 幹雄, 久具 宏司, 西井 修, 矢野 哲, 堤 治, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
【目的】腸管子宮内膜症はS状結腸から直腸にかけて最も好発し,その発生頻度は低いが,血便・排便障害などの臨床症状を呈し,他疾患との鑑別が問題となることがある.これまでの報告では大腸内視鏡,注腸造影検査,MRIなどの診断法については散見されるが,各種検査法間の比較や病理学的検討はなされていない.今回我々はその診断に有用な検査法と特徴的所見について検討した.【方法】1998年から2001年に当院で病理組織学的に診断された腸管子宮内膜症5例に対して,施行した各種検査法(経腟・経直腸超音波,大腸内視鏡,注腸造影,MRI)を後方視的に比較するとともに,病変部位の病理組織学的所見と画像所見を照合し,各種検査法の有用性およびその特徴的所見について検討した.【成績】経腟または経直腸超音波では全例で,輪郭がhigh echoicで内部がlow echoicな不整形領域という特徴的な所見を示した.大腸内視鏡では壁外性圧排・狭窄という粘膜下腫瘤に特徴的な所見を認めたが,粘膜病変は浮腫・びらんなど軽度であった.また全例に生検を施行したが,病理学的に子宮内膜症組織が確認されたのは5例中2例であった.注腸造影でも壁外性の圧排・狭窄,ひだの集中といった,粘膜下腫瘤様所見を認めた.MRIでは特徴的な所見に乏しかった.【結論】腸管内膜症では,経腟または経直腸超音波で特徴的なエコー像を呈した.また,超音波は簡便かつ病巣の描出に適しているという点で最も有用であり,大腸内視鏡や注腸造影検査と併せて行うことで他の悪性疾患等との鑑別や病巣の大きさ・位置,進展の範囲の評価が確実となると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
141-141, 2002
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