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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 IVF後に絨毛膜下血腫を呈した子宮内外同時妊娠
陣内 彦良, 伊藤 嘉奈子, 雀部 豊, 前村 俊満, 渋井 幸裕, 安部 裕司, 久保 春海
東邦大学産婦人科
近年,生殖補助技術(ART)が普及される一方,従来までは非常に稀であった子宮内外同時妊娠(以降内外同時妊娠)の発生率も昔と比べ約1000倍に増加してきている.内外同時妊娠の早期診断は非常に困難であり,卵管破裂または卵管流産後に症状が出現しはじめて診断されるケースも少なくない.今回われわれは顕微授精(ICSI)後に経腟超音波にて内外同時妊娠と診断し卵管切除後妊娠継続中の症例を経験したので報告する.症例は33歳の原発性不妊症で31歳の時両側卵管留水腫のため腹腔鏡下両側卵管開口術を施行した既往がある.夫に乏精子症を認めたためICSIを施行し3回目で妊娠が成立した.妊娠6週で子宮内に胎嚢と絨毛膜下血腫を認めため切迫流産と診断し入院加療を開始した.入院2日目に急激な下腹部痛を訴えたため経腟超音波にて右付属器に胎嚢様陰影を認め緊急開腹手術を施行した.右卵管膨大部妊娠を認めたため右卵管切除術を施行した.術後2日目の経腟超音波所見では絨毛膜下血腫の消失と胎児の心拍が認められ,その後経過順調で現在も妊娠継続中である.ARTの発展に伴い難治性不妊症も妊娠可能になってきたがその一方ではこのような合併症も増加してきているのが現状である.ART後の妊娠症例では子宮内の胎嚢を認めても内外同時妊娠の可能性も念頭に入れて両側付属器のスクリーニングを十分に行う必要がある.特に本症例のような妊娠初期に絨毛膜下血腫が認められた場合は慎重に診断を進めるべきである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
142-142, 2002
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