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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
不妊・内分泌(1)
クラミジア・トラコマティス(Ct)抗体保有不妊婦人の特徴


平野 由紀, 柴原 浩章, 女川 珠穂, 種市 明代, 鈴木 達也, 高野 貴弘, 田中 奈津子, 和田 智明, 高見 澤聡, 鈴木 光明, 佐藤 郁夫
自治医科大学産婦人科


[目的]Ct感染は卵管性不妊症の発生と密接に関係する.今回我々はCt感染既往のある不妊婦人の特徴を検討した.[方法]対象は当科不妊外来を受診し,Ct抗体(IgG,IgA)検査を受けた80名.Ct抗体保有者には薬物治療後に卵管通過性検査を行った.また妊娠成立時の治療法,妊娠転帰を検討した.[結果]Ct抗体陽性者は20名(25.0%)であった.抗体保有有無に患者年齢で差はなかった.抗体陽性患者で評価できた32卵管と,抗体陰性患者の108卵管を比較すると,卵管通過性正常は各々17卵管(53.1%),91卵管(84.3%)であ有意差を認めた(P=0.0002).また卵管周囲癒着は各々8卵管(25.0%),11卵管(10.2%)であ有意差を認めた(P=0.03).治療により妊娠に至ったのは抗体陽性者で13名(65.0%),陰性者で26名(43.3%)であった(P=0.09).ARTによる妊娠は抗体陽性者で4名(30.8%),陰性者で3名(11.5%)であった(P=0.14).ETあたりの妊娠率は抗体陽性者で36.3%(4/11),陰性者で25.0%(3/12)と差はなかった.妊娠転帰は抗体陽性者で流産2名,外妊1名,on going 10名,抗体陰性者では流産3例,on going 23名であった.On going率に差はなかった.[結論]Ct抗体保有不妊患者の特徴は,卵管性不妊が有意に多く,ARTによる妊娠成立依存傾向が高く,妊娠率はむしろ良好で,on going率への影響もなかった.不妊外来でCt抗体検出後に的確な薬物療法を行うことが,Ct感染に起因する流産発生の予防に有効であるかもしれない.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 144-144, 2002


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