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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
不妊・内分泌(2) IVF,ICSIにおけるPoor responder症例の妊娠に関与する因子についての検討
藤本 晃久, 藤原 敏博, 大須賀 穣, 難波 聡, 和田 修, 森田 豊, 竹内 亨, 西井 修, 久具 宏司, 矢野 哲, 堤 治, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
IVF,ICSI治療周期において,いわゆるpoor responderに対する排卵誘発には様々な工夫が試みられているが,治療に苦慮しているのが現状である.今回,当科におけるpoor responder症例において,年齢をはじめとする種々の因子と妊娠率の関係を,retrospectiveに検討した.1998年1月より2000年12月までに当科においてIVF,ICSI目的に排卵誘発を行った350症例804周期のうち,poor responseのため採卵をcancelした症例,および採卵数3個以下の症例を対象とし,その後2周期以内に採卵数が4個以上に増加した症例は除いた.症例毎に,3周期までに妊娠成立したかどうかを検討した.当科におけるpoor responderは75症例(34歳以下18症例,35歳以上39歳以下34症例,40歳以上23症例)であった.年齢別にわけた3群の妊娠率は34歳以下7/18(38.9%),35歳以上39歳以下10/24(29.4%),40歳以上0/23(0%)であり,若年者ほど有意に妊娠率は高くなった.卵胞期初期FSH値との関連については,FSH12未満;8/26(30.8%),FSH12以上;7/44(15.9%)と,有意差は見られなかったが,35歳以上39歳以下の症例に限ると,FSH12未満;6/12(50%),FSH12以上;3/20(15%)と,有意差が認められた.卵巣に対する手術既往と妊娠率については,手術既往有り;7/26(26.9%),手術既往なし;10/49(20.4%)であり,有意差は見られなかった.以上のことから,poor responderにおける妊娠予後は,年齢,FSH値に影響を受けており,FSH値が上昇したpoor responder症例においても,特に35歳未満の症例では積極的に排卵誘発を行うことにより,十分妊娠が期待できると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
146-146, 2002
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