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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
不妊・内分泌(3) 腹腔鏡下手術が性腺摘出に有用であった精巣性女性化症候群
稲川 智子, 明楽 重夫, 三浦 敦, 竹下 俊行, 荒木 勤
日本医科大学産婦人科
精巣性女性化症候群は男性仮性半陰陽で,アンドロゲンレセプター異常によるアンドロゲン活性の欠如,あるいは低下による疾患である.性腺の悪性化が高いため,適当な時期の性腺摘出が必要であるが,場所の同定は困難な場合がある.今回我々は,性腺の同定,摘出に腹腔鏡が有用と思われた症例を経験したのでここに報告する.症例は,15歳時に原発性無月経を主訴に近医受診.子宮欠如を指摘され,精査目的にて当科紹介となった.身長166cm,体重49kg.体型は女性型であり,乳房の発達はよかった.超音波にて子宮,卵巣は描写できず,膣は4cmで盲端であった.外陰部も女性型で陰核肥大はないが,大陰唇の発達は悪く,恥毛はみられなかった.既往歴として1歳時鼡径ヘルニアの縫縮術を受けており,この際精巣の存在が疑われていた.染色体検査にて46XYであり,精巣性女性化症候群の完全型と診断した.超音波にて左鼡径部に1,8 cmと1,4cm大の嚢胞状病変を認め,性腺の存在が疑われたが,部位の確定には至らなかった.そこで性腺の同定および摘出目的にて腹腔鏡手術となった.腹腔鏡は腹壁吊り上げ法にて施行した.子宮,卵巣は欠如しており,左内鼡径輪に接して母子頭大および小指頭大の腫瘤を認め,性腺と同定し得た.その基部をエンドループにて2重結紮し切断.プリートマンザックに収納し,体外に摘出した.病理にて睾丸組織が証明され,テストストロンも低下した.以上から,精巣性女性化症候群の性腺摘出に対し腹腔鏡手術が有用と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
147-147, 2002
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