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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
不妊・内分泌(3) 月経前緊張症に対する弓帰調血飲の効果
合阪 幸三, 秋山 純子, 尻高 史啓, 木村 好秀, 岡田 紀三男, 小畑 清一郎
御茶ノ水・浜田病院産婦人科
【目的】月経前緊張症(premenstrual syndrome,PMS)とは,月経前10日前後より多岐にわたる不定愁訴を訴えるが,月経の開始とともに消失する疾患で,内分泌学的要因,精神的な原因などが考えられているが詳細は不明である.弓帰調血飲は13種類の混合生薬を含有し,産後の神経症,体力低下,月経不順などに有効とされている.今回我々は弓帰調血飲をPMSに用い,その効果を検討した.【方法】臨床的にPMSと診断した16例を対象とした.いずれも月経困難症のない症例で,内診,超音波断層法などで臨床的に子宮内膜症ではないことを確認した.十分なインフォームドコンセントの下に弓帰調血飲(EK-230,カネボウ薬品,6g/day)を6カ月間投与し,身体症状(頭重感,乳房緊満感,易疲労感など)および精神症状(いらいら,焦燥感,不眠など)の改善度を0〜3の4段階にスコアリングして評価した.【成績】いらいら(2.1±1.0→0.6±0.4),焦燥感(2.4±1.3→1.0±0.7),不眠(2.2±1.2→1.3±0.9)など精神症状に起因すると考えられた症状はいずれも著明に改善した.身体症状のうち,頭重感(2.5±1.6→1.1±0.8),易疲労感(2.7±1.9→1.2±0.7)など,精神的な要因が大きい項目は著明な改善を見たが,乳房緊満感(2.3±1.3→1.8±1.3)のようにホルモン依存性の症状と考えられる症状については改善されなかった.【結論】弓帰調血飲はPMSの諸症状,特に精神的な症状の改善に有効であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
147-147, 2002
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