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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
その他(1)
腎後性腎不全を来たした劇症骨盤内放線菌感染症の一例


大岡 史子, 久須美 真紀, 川村 久恵, 中川 圭介, 上里 忠和, 蔵持 和也, 梁 善光, 貝原 学
帝京大学医学部附属市原病院産婦人科


 子宮内避妊具(IUD)の長期使用後に放線菌症感染の発症が増加していることが近年報告されている.今回われわれは長期装着のIUD除去目的で行った子宮内操作を契機に増悪した重症の放線菌感染症で,術前に感染波及による腎後性腎不全をきたした稀有な症例を経験したので報告する.症例は47歳2G2P.少量の不正性器出血と軽度の下腹部痛を主訴に当科初診した.10年以上挿入されたIUDを原因と考え抜去を試みたが不可.約一ヵ月後にhysterofiber下に抜去試みるも癒着のため抜去不能であり麻酔下での抜去の方針となった.このとき施行した血液生化学所見では腎機能障害は認められなかった.しかしhysterofiber施行後より下腹痛やや増強し,膿性帯下が増量,さらには全身倦怠感が出現したため救急入院となった.入院当日に施行したDIPでは両側尿管が描出されず,腹部超音波にて両側水腎症認めた.検査所見上もBUN39.0 Cr5.0であり腎後性腎不全と診断し同日緊急腎瘻造設術を施行した.またWBC15100 CRP24.4と感染徴候も認め,経過よりactinomycosisを疑いペニシリン大量投与を開始した.腎機能は徐々に回復し入院後4日目に開腹手術施行.腹腔内は強固に癒着しており癒着剥離後にTAH+BSOを試みた.両側附属器に直径5cm大の肉芽腫様tumorを認めた.子宮体部はかろうじて露出できたが膀胱との癒着は強固であり膣上部切断術+BSOのみに留まった.術中出血量5,000ml,手術時間5時間10分.術後はペニシリン+第3世代セフェム系抗生物質を投与にて徐々に感染徴候は改善傾向を示した.病理診断はactinomycosisであった.本症例の経過に文献的考察を加えて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 149-149, 2002


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