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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
その他(1) 腹腔鏡下手術で治療しえたインヒビンを産生する顆粒膜細胞腫の一例
佐野 麻利子, 糸賀 知子, 櫻井 明弘, 武内 裕之, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
顆粒膜細胞腫は全卵巣腫瘍の1%,充実性腫瘍の4〜5%を占め,組織像の特徴から成人型と若年型に分類され,約1/3〜1/2の症例でエストロゲン活性を呈するとされる.無月経を主訴として,術前に診断しえ,腹腔鏡下右付属器切除術施行後,月経周期が回復した顆粒膜細胞腫の一例を経験したので報告する.症例は31歳の未経妊で,初経は12歳で,月経周期は30日から40日と不整であったが,1998年10月を最終月経として無月経となった.検診で子宮筋腫を指摘され,近医受診して右卵巣腫瘍と診断され,当科紹介受診となった.内診で右付属器に鵞卵大の腫瘤を触知した.経腟超音波断層法で6cm大の内部に嚢胞を有する充実性腫瘍を,MRIでは,内部に粘液性分を有し,ガドリニウムで強く造影される右卵巣充実性腫瘍が疑われた.血清ホルモン値は,LH:23.1mIU/ml,FSH:1.5mIU/ml,E2:40pg/ml,テストステロン:66.8ng/dl,アンドロステンジオン:3.6np/dlであった.腫瘍マーカーは,全て正常範囲内であった.画像診断所見とホルモン検査から性索間質系腫瘍を疑い,腹腔鏡下右付属器切除術を施行した.摘出した附属器は,エンドキャッチに収納して,内溶液を漏らすことなく体外に回収した.病理組織診断はgranulosa cell tumor(adult type)であった.術後,LH:6.5mIU/ml,FSH:6.5mIU/mlとゴナドトロピンの正常化が認められ,月経周期が回復した.本腫瘍はインヒビンを産生する比較的稀なgranulosa cell tumorと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
150-150, 2002
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