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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
その他(2)
腹腔鏡下に除去し得た腹腔内迷入IUDの一例


佐久間 洋1), 高橋 通1), 永田 一郎2)
埼玉県厚生連熊谷総合病院産婦人科1), 埼玉医科大学産婦人科2)


 子宮内避妊具(IUD)は比較的確実な避妊法の一つではあるが,時に子宮穿孔,腹腔内移行の危険性を伴う.今回我々は10年前に挿入したIUDが腹腔内に迷入し,腹腔鏡で除去し得た症例を経験したので若干の考察を加え報告する.【症例】45歳.妊娠歴:4回経妊3回経産.月経歴:不整.月経痛なし.現病歴:平成3年に3回目の分娩後,近医にてIUD挿入するも,妊娠し,人工妊娠中絶を受けたが,IUDは確認されなかった.平成13年11月腰痛のため,近医整形外科受診し,X-P受けた際,臍部の左方に異常陰影を指摘され,産婦人科受診を勧められた.11月14日,当院初診.腹部軟で,圧痛なし.内診および経膣超音波にて子宮および付属器は正常で,共に圧痛等認めなかった.腹部X-P施行すると,左寛骨の前方にループ状の陰影を認め,Lippes Loopの存在が疑われた.CTにて,同部位の腹腔内腹壁直下に異物を確認した.経過:12月25日腹腔鏡施行し,大網が絡みついたように存在したLippes Loopを認めたため,大網の剥離操作を行い,開腹することなく除去に成功した.また,子宮底に穿孔の瘢痕かと思われる軽度の陥凹を確認した.【考察】IUDの穿孔はしばしば報告されるが,IUD挿入から数年の時を経て腹腔内で見つかる例は,本邦では数例の報告があるのみであり,穿孔によるものとの推測の域を脱し得ない.今回我々の経験した症例は,子宮の所見から,挿入時の穿孔が原因であったと考えられた.【結語】10年前に子宮穿孔で腹腔内に迷入したと思われるIUDを,腹腔鏡下で除去し得た希な症例を経験した.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 151-151, 2002


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