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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
その他(2) 当科における過去5年間の子宮損傷の検討
三宅 秀彦, 横田 明重, 中井 章人, 越野 立夫, 荒木 勤
日本医科大学産婦人科
流産手術などの経腟的子宮内操作において,子宮損傷は最も注意すべき合併症のひとつである.今回我々は,平成8年1月から平成14年2月までに当院において経験した子宮損傷症例7例について検討した.全例開腹手術を施行した.7例中5例が流産手術〜子宮内容清掃術に,残り2例がIUD抜去に伴う損傷であった.先行する子宮内操作から24時間以上経過した2例では,汎発性腹膜炎を合併していた.損傷部位は,子宮体部が5例,子宮底が1例,子宮頸部が1例であった.また,損傷部位の左右差を見ると,中央部4例,右側2例,左側1例であった.損傷部位に対する手術術式としては,損傷部のデブリードマンおよび縫合が4例,子宮全摘症例は3例である.また子宮外妊娠の1例では左卵管切除を施行している.腸管損傷を伴っていたのは2例で,1例は小腸表面の挫滅創のみであったが,残りの1例では小腸穿孔を併発しており小腸部分切除となった.子宮頸部右側を損傷していた症例では,子宮動脈の損傷を伴ったため腹腔内出血量は2960gと多量で輸血を必要とした.これ以外の子宮損傷症例で輸血を施行したのは1例のみであった.症例数が少ないため統計的な検討は難しいが,損傷発生から時間の経過により腹膜炎の発生が増加すること,血管損傷をともなった場合多量出血を伴うことから,子宮損傷を発見した場合速やかな対応が肝要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
152-152, 2002
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