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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
妊娠中毒症(2)
皮質盲をきたした重症妊娠中毒症の1例


上田 和, 拝野 貴之, 林 博, 多田 聖郎, 道躰 敏弘
神奈川県立厚木病院産婦人科


 皮質盲とは,後頭葉の皮質視中枢が両側性に障害され,視交叉までの視路や視覚器が正常でありながら両側性に視覚を喪失している状態をいう.妊娠高血圧症の約1〜2%に合併する稀な病態である.今回我々は妊娠35週5日で急激に発症した重症妊娠中毒症に本症の1例を経験したので報告する.症例は33歳,0経妊0経産婦.高血圧・脳血管障害の既往歴・家族歴はなし.妊娠経過は順調であったが,妊娠35週5日に突然の視力障害をきたし前医を受診した.受診時血圧188/118と上昇しており,子癇前症の診断で当院へ母体搬送となった.来院時血圧178/104,意識清明,軽度の頭痛がみられた.視力は手動弁まで回復していたが,診察中再び光覚弁以下にまで低下した.さらに経腹超音波上胎盤の剥離兆候を認めたため,緊急帝王切開術を施行した.術後,頭部CTで脳浮腫を認め,脳圧減少のため低分子デキストランを,高血圧に対しCa拮抗剤を投与開始したところ視力は急激に改善し,術後2日目にはほぼ完全回復となった.術後1日の頭部MRIは基底核と両側後頭葉に高信号を認めた.経過良好にて術後17日に母児共に退院となった.術後34日の産褥健診では視力障害・高血圧はみとめず,頭部MRIでも異常所見は消失していた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 154-154, 2002


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