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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎盤異常(1) 前2回常位胎盤早期剥離症例妊娠管理の経験―早剥の予知は可能か?―
大久保 喜彦1), 櫻井 麻美子1), 中島 義之1), 古川 真希子1), 崎山 ゆかり1), 持木 昭人1), 永井 宣久1), 佐藤 伊知朗1), 池上 淳1), 寺本 勝寛1), 山本 樹生2)
山梨県立中央病院周産期センター1), 日本大学産婦人科2)
【はじめに】常位胎盤早期剥離(早剥)は妊産婦・周産期死亡の主因となる代表的な疾患で,さまざまな合併症を併発し重篤な臨床像を呈する.全妊娠の0.2〜1.2%に発症,反復率3〜18%,2回連続して児死亡をきたした症例は25%が3回目も同じ結果に帰したとの報告がある.今回我々は,前2回早剥にて児死亡した妊婦を管理し生児を得た経験から,既往早剥症例の扱いおよび早剥の予知について考察した.【症例】36歳2妊2産.1回目は他医で妊娠管理され経過上問題なく,37週1日陣痛発来にて入院し経腟分娩,2,730g女児をApgar score(AS)1点にて出生,3生日に新生児死亡した.血性羊水,胎盤所見から早剥と診断された.2回目は当院にて妊娠管理し経過中問題を認めず,35週5日破水感と性器出血にて入院,子宮内胎児死亡,早剥と診断,母体DIC,ショック状態であり帝王切開にて2,478g男児を娩出した.前2回とも妊娠中毒症などの合併症なく,予測不可能であった.今回は22週より入院,経腹エコー,血液検査およびNSTにて管理した.腹緊と性器出血を認め妊娠30週2日帝王切開,1,548g女児をAS 7点にて出生した.低出生体重児,RDSにてNICU入院,現在は順調に経過している.【結語】早剥既往妊婦は,前回よりも2〜3週早期に早剥を起こすといわれ,また度重なる死産に対する家族の思いはその分娩時期の決定に重要な要因ともなる.胎児の未熟性との兼ね合いから分娩時期の決定は重要で,早期からの新生児科医の関与と血液学的,経腹エコー,NSTによる経時的かつ綿密な妊娠管理で異常を早期に発見し娩出を決定することが重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
157-157, 2002
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