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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎盤異常(1) 絨毛膜羊膜のヘモジデリン沈着と早期新生児予後との関係
兵藤 博恵1), 鹿島 大靖1), 兵藤 博信1), 高木 紀美代1), 海野 信也1), 小木 曽嘉文2)
長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科1), 長野県立こども病院臨床病理科2)
【目的】慢性の胎盤早期剥離(PPS)は臨床的には妊娠初期より反復する性器出血,病理学的には絨毛膜羊膜のヘモジデリン沈着(DCH)を認め,血液成分の化学的刺激による無菌性慢性炎症を特徴としており,早産率が高い.PPSの臨床経過を明らかにすることを目的としてPPS症例の新生児期早期の経過について検討した.【方法】2000年9月〜2001年12月に当院へ母体搬送後分娩となりNICUに収容された先天奇形のない24週以上27週未満の単胎早産児14例を対象として,DCHを認めた4例と認めなかった10例の間で比較検討した.【成績】DCH群は全例妊娠早期(平均10.7週)からの反復性性器出血と前期破水を合併していた.control群は前期破水5例,頚管無力症3例,妊娠中毒症2例で,反復性性器出血を認めた例はなかった.母体年齢(平均28.5歳/30.3歳)・分娩時在胎期間(平均25週3日/25週6日)・出生体重(平均849g/800g)・Apgar Scoreに差を認めなかった.絨毛膜羊膜炎の合併率(75%/70%)に差はなく,出生時IgM高値を認めたものはcontrol群に1例のみだった.RDSの発症はcontrol群で有意に高頻度(25%/90%)だったが,DCH群では3例で出生後24時間に胎児循環遺残(PFC)を発症し,control群(0例)より有意に高率だった.出生後24時間のHFO装着率(75%/10%)はDCH群に有意に高率であり,NO投与はDCH群でのみ行われた(50%).DCH群では全例,control群では80%が生存した.慢性肺障害の発症率はDCH群で100%,control群では75%だった.【結論】PPSでは極低出生体重児には稀なPFCに陥りやすく,出生早期の安定化が困難であることが示唆された.PPS症例の分娩には出生後の蘇生困難・PFC発症を念頭にHFO/NOの準備を含めた対応が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
158-158, 2002
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