|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎盤異常(3) 経時的に観察し無事健児を分娩し得た絨毛血管腫の一症例
萩原 俊太郎, 藤江 道子, 滝澤 基, 深田 幸仁, 本多 つよし, 平田 修司, 星 和彦
山梨医科大学産婦人科
絨毛血管腫は胎盤に発生する非絨毛由来の良性腫瘍の中で最も頻度の高いもので,羊水過多,早産,胎児水腫,胎児心不全,児の貧血・血小板減少などをよく合併することが知られている.今回われわれは,胎盤に径6 cmの絨毛血管腫を認め,羊水過多を伴うも胎児に心不全徴候なく,妊娠37週まで経過を観察し無事に健児を分娩し得た症例を経験したので報告する.<症例>37歳の2経産婦.他院にて妊娠管理されていたが,妊娠29週に羊水過多にて当院紹介となった.初診時,羊水過多(AFI 24.7 cm)と胎盤腫瘍(4.6×5.1×5.3 cm)を認めた.腫瘍は内部に血流が存在し絨毛血管腫が疑われた.NSTによる胎児well beingの確認と超音波断層法による胎盤腫瘍の観察や胎児心機能等の評価を行いつつ妊娠を継続した.妊娠34週に羊水過多,切迫早産にて入院となった.妊娠35週の時点で腫瘍内血流の消失が確認され,それに伴い羊水過多も消失した.この間,胎児に異常は認められなかった.妊娠37週で分娩誘発を施行し経腟分娩となった.新生児は2,978g,一分後のApgar Score 9点の女児であった.児に心不全や貧血,血小板減少は認められなかった.胎盤の病理学的検索により腫瘍内には多数の毛細血管が網目状に増生しており,angiomatous typeの絨毛血管腫と診断された.<結語>絨毛血管腫を認めた場合,NSTや超音波断層法により胎児の評価を行い分娩時期を決定することが重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
160-160, 2002
|