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<< 学会誌へ戻る 胎盤に生じる血腫は，胎児面よりそれぞれ羊膜下，絨毛膜下，絨毛間，胎盤後に分類される．羊膜下血腫は，大部分が分娩時の臍帯の強い牽引により，付着部付近の絨毛血管が破綻し発生すると考えられている．今回我々は，妊娠中期に巨大羊膜下血腫を発生した症例を経験したので報告する．症例は27歳，0経妊0経産．家族歴，既往歴には特記すべきことはない．21週0日，前置胎盤の診断にて前医紹介され妊健受けていた．29週1日，子宮内胎児発育遅延および胎盤異常の疑いで当科紹介され，翌日に入院した．超音波，MR上，後壁に子宮底から内子宮口付近に至る巨大胎盤様腫瘤を認めた．羊水腔は圧迫により狭小化し，AFI＝3.9の羊水過少と胎児発育遅延を認めた．カラードプラー上，胎盤にはほとんど血流がなく，臍帯血流の逆流を認めた．胎児仮死の診断にて同日緊急帝王切開術を施行した．術中所見で，破膜後さらに子宮腔内に羊膜の膨隆を認め，再度破膜したところ大量の暗赤色非凝固性の血液が流出した．児は，620g，Apgar score2/8で出生し，NICUにて管理されており，日齢44日で840gと順調に経過している．胎盤そのものは15×17cm，重量200gと小さく，胎児面の羊膜が大きく剥離していた．以上の所見により羊膜下の巨大血腫と診断した．妊娠中期に羊膜下血腫が発生した場合，時に子宮内胎児発育遅延を引き起こすことが報告されている．しかし，今回のような胎盤全面にわたる羊膜下血腫は文献を調べた限りみられず，希少例と考え報告する． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 161-161, 2002 |
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