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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎盤異常(3) 胎盤ポリープの臨床像と処置に関する検討
神津 円, 難波 聡, 石山 巧, 藤原 敏博, 大須賀 穣, 久具 宏司, 藤井 知行, 西井 修, 矢野 哲, 堤 治, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
胎盤ポリープとは子宮内に胎盤の一部が残留し器質化したものであり,産褥期に持続性あるいは反復性の異常出血をきたす疾患として知られる.我々は最近2年間に6症例の胎盤ポリープを経験したので今回その臨床像をまとめた.6例のうち5例は,分娩後ないし流産の後,子宮内容除去術を行ったもののなお超音波検査や子宮鏡検査によって子宮内の胎盤遺残が認められたため,いずれもcutting loopを用いて子宮鏡下切除(TCR:transcervical resection)を行った.病理診断は5例中4例がplacental restであり,いずれも絨毛構造と高度の炎症・壊死所見が認められた.6症例のうちの残りの1例は,中期中絶後出血が持続し超音波検査にて子宮内に約3cm大の隆起性病変を認めたためTCRを予定していたが,中絶より70日後になって大出血をきたし子宮全摘を余儀なくされた症例である.摘出子宮の内面は筋層後壁が全体的に肥大し,胎盤由来と思われる組織が筋層表面を覆っていた.病理所見でviableなtrophoblastが存在した点が他の5例と異なっていた.以上6症例の経験より,子宮内容除去術が無効な胎盤ポリープに対してTCRは有用であるといえ,その利点は,診断と治療が同時に行えること,子宮内容除去術に比べ正常部位への損傷が少ないこと,電気凝固により十分に止血できることなどであった.ただしviableな組織の残存する症例に対してはその適応に十分な注意を要すると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
161-161, 2002
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