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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(1) 妊娠30週に突然発症した糖尿病性ケトアシドーシスの一例
中村 妙子1), 青木 茂1), 春木 篤1), 遠藤 方哉1), 安藤 紀子1), 高橋 恒男1), 石川 浩史2), 平原 史樹2)
横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター母子医療センター1), 同産婦人科2)
妊娠中に糖尿病が発症,増悪しやすいことはよく知られているが,そのほとんどはインスリン非依存性糖尿病(以下NIDDM)で,インスリン依存性糖尿病(以下IDDM)は稀である.今回我々は妊娠30週にIDDMによる糖尿病性ケトアシドーシス(以下DKA)を発症し,non reasuring fetal statusとなり緊急帝王切開にて生児を得た1例を経験した.【症例】33歳.0妊0産.妊娠経過中,尿糖は毎回陰性.GCTは119mg/dl(24週3日).30週3日より口渇,全身倦怠感,嘔吐,嘔気,上腹部痛出現.翌日胎動の低下も自覚し,当院緊急受診.CTG上late decelerationを認めnon reasuring fetal statusと判断し,緊急帝王切開術の方針とした.児は1,468gの男児(Apgar score4/6,UApH 7.064).母体の術後血糖値372mg/dl,尿ケトン体4+,動脈血pH7.142でありDKAと診断し,インスリン持続注入と輸液を開始し,8時間後DKAより離脱した.【結語】妊娠中にDKAを発症すると殆ど全例で子宮収縮を伴い,またlate decelerationが出現する.妊娠経過中の発症予知は不可能だが,妊娠中に上腹部症状,全身倦怠感,多飲多尿などの症状がみられたら,DKAの存在を考慮すべきである.またDKAによるnon reasuring fetal statusは,DKAの治療で軽快するが,治療経過中に子宮内胎児死亡となる可能性もあるので,intact survivalが期待できる時期であれば,積極的に児の娩出を計るべきであると考えた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
162-162, 2002
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